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コーヒーの味わいの基礎|酸味・苦味・コク・香りの違いとテイスティング入門

コーヒーの味わいの基礎|酸味・苦味・コク・香りの違いとテイスティング入門|アイキャッチ

コーヒーを飲んで「酸味が強い」「コクがある」と感じても、その言葉が何を指すのか説明しづらい。そんな経験はないでしょうか。実は、コーヒーの味わいは6つの要素に分けて捉えると一気に分かりやすくなります。この記事では、味と風味の違いから、酸味・苦味・コク・香りといった要素の意味、焙煎度ごとの傾向、そして家庭でできる簡単なテイスティングの手順までを、比較表で整理して解説します。読み終えるころには、自分の「好み」を言葉にできるようになり、豆選びの軸が手に入ります。

目次

コーヒーの「味」と「風味」は何が違う?味は6要素で捉えると分かる

コーヒーの味と香りが生む味わい
Photo by NordWood Themes on Unsplash (NordWood Themes)

結論から言うと、コーヒーの味わいは「味(taste)」と「風味(flavor)」を分けて考えると整理できます。なぜなら、私たちが感じる「美味しさ」は、舌で感じる基本味と、鼻で感じる香りが脳内で統合されたものだからです。

舌が直接感じ取るのは、甘み・酸味・苦味・塩味・うま味の基本味とされます。一方で「コーヒーらしさ」を形づくる華やかさやナッツのニュアンスは、香りの情報が大きく寄与しているといわれます。つまり、鼻をつまんでコーヒーを飲むと風味がぼやけるのは、香りという情報が抜け落ちるためです。

この記事では、舌で感じる味と鼻で感じる香りをあわせて、コーヒーの味わいを次の6要素で捉えていきます。

  • 酸味(明るさ・爽やかさ)
  • 苦味(ビター感)
  • 甘み(余韻の甘さ)
  • コク(ボディ・口当たりの厚み)
  • 香り(アロマ・フレーバー)
  • 後味(アフターテイスト)

コーヒーの味を構成する6要素とは?それぞれの意味と由来

コーヒーの味わいを言語化する鍵は、6要素それぞれが「何を指し、どこから来るのか」を知ることです。要素を分解すれば、漠然とした感想が具体的な評価に変わります。

たとえば「美味しい」だけでは好みを伝えられませんが、「酸味は穏やかでコクが厚く、後味に甘さが残る」と言えれば、自分に合う豆を選びやすくなります。各要素の意味と主な由来を、次の表に整理しました。

要素 何を指すか 主な由来(豆/焙煎/抽出)
酸味 明るさ・爽やかさ。フルーツのような印象 豆(産地・品種)+浅めの焙煎
苦味 ビター感・力強さ 深めの焙煎+抽出・挽き目の影響も大きい
甘み 余韻に残る甘さ・まろやかさ 豆の質+焙煎(糖の変化)
コク(ボディ) 口当たりの厚み・重さ・質感 豆+焙煎+抽出(成分の溶け出し方)
香り(アロマ) 立ちのぼる香り・含んだときの風味 豆+焙煎(挽いた直後が最も豊か)
後味(アフターテイスト) 飲み込んだあとに残る余韻 豆+焙煎+抽出の総合

※由来は一般的な傾向です。実際の味は、豆・焙煎・抽出の組み合わせで変わります。

6要素のなかでもイメージしづらいコク(ボディ)については、コーヒーのコク(ボディ)の正体と口当たりを濃くする方法で、脂質や抽出による口当たりの違いを詳しく解説しています。

コーヒーの味はどこで決まる?豆・焙煎・抽出の3段階

豆・焙煎・抽出で決まるコーヒーの味わい
Photo by 🇸🇮 Janko Ferlič on Unsplash (🇸🇮 Janko Ferlič)

味わいは、豆・焙煎・抽出という3つの段階を通って最終的に決まります。どれか1つではなく、3つの掛け合わせで一杯の個性が生まれると考えると理解しやすいです。

まず豆(産地・品種・精製)が、酸味や香りの素となる土台を決めます。次に焙煎が、その土台を浅煎りの明るい方向か、深煎りの力強い方向かへ振り分けます。最後に抽出(湯温・挽き目・時間)が、その日のカップの濃さや苦味・コクのバランスを調整します。

同じ豆でも焙煎度が違えば別の飲み物のように感じられ、同じ豆・同じ焙煎でも抽出を変えれば味は動きます。だからこそ、味を語るときは「どの段階の話か」を意識すると、原因と調整方法が見えてきます。なお、豆そのものの種類や銘柄ごとの個性については、コーヒー豆の種類ごとの味の違いで詳しく整理しています。

焙煎度で味はどう変わる?浅煎りは酸味、深煎りは苦味・コクが目安

焙煎度は、味わいの方向性を大きく左右します。おおまかな目安として、浅煎りほど酸味が際立ち、深煎りほど苦味とコクが前に出るとされます。ただしこれはあくまで傾向で、苦味は抽出や挽き目の影響も大きい点に注意が必要です。

理由は、焙煎が進むほど豆の中の酸が分解され、苦味やコクにつながる成分の変化が進むためといわれます。下の表は、焙煎度ごとの味の傾向を早見表にしたものです。自分が「酸味寄り」か「苦味・コク寄り」かを知る目安にしてください。

焙煎度の傾向 酸味 苦味・コク 味わいの印象(目安)
浅煎り寄り 強め 軽め 明るく爽やか。フルーティな印象
中煎り寄り 中くらい 中くらい バランス型。甘みも感じやすい
深煎り寄り 穏やか 強め 力強くコクがある。ビター

※上記は一般的な目安です。同じ焙煎度でも、挽き目を細かくしたり抽出を長くすると苦味は強まります。焙煎度の8段階や仕組みをもっと知りたい方は、焙煎度ごとの味の違いを解説したコーヒーローストの基礎を参照してください。酸味を活かす方向で楽しみたい場合の豆選びと淹れ方は、酸味を活かすコーヒーの楽しみ方で詳しく扱っています。

SCAフレーバーホイールとは?味わいを言葉にする世界共通のものさし

風味を言葉にするコーヒーのテイスティング
Photo by Anastasiia Chepinska on Unsplash (Anastasiia Chepinska)

コーヒーの風味を体系的に言語化する道具として、世界的に使われているのがSCAのフレーバーホイールです。これは味わいの表現に共通言語を与える「ものさし」だと考えると分かりやすいです。

フレーバーホイールは、米国スペシャルティコーヒー協会(SCA)がワールドコーヒーリサーチ(WCR)などと協力して整理したもので、1995年に原型が公開され、2016年に大幅に改訂されたとされています[S1]。円の中心ほど「フルーティ」「ナッツ/ココア」といった大きな分類が並び、外周に向かうほど「ベリー」「レモン」のように具体的な表現へと細かくなる構造です。

SCAは、このホイールを使うための8ステップの手順も公開しています。その要旨は、まず大まかな印象(中心)を選び、徐々に外周の具体的な言葉へ絞り込んでいくというものです[S1]。

フレーバーホイールの具体的な読み方と、SCA公式の8ステップの使い方は、コーヒーのフレーバーホイールの読み方・使い方でさらに詳しく解説しています。

感じた風味を具体的な言葉に置き換えたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

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コーヒーの風味の傾向を8分類で示したcapra独自の簡易フレーバー分類図(概念図)
capra-coffee 簡易フレーバー分類図(概念図)。完全版はSCA公式フレーバーホイールを参照。

なお、フレーバーホイールの図そのものはSCAの著作物です。本記事では転載せず、実物はSCA公式ページでご確認ください(リンクは記事末の「出典・参考」[S1]に記載)。

家庭でできる簡単テイスティングの手順は?香り→注湯→評価の流れ

特別な道具がなくても、家庭でコーヒーの味わいを評価する練習はできます。ポイントは、香りから始めて、味・酸味・ボディ・後味の順に意識を向けることです。

専門的なカッピングの作法を、家庭向けに簡略化した流れを表にまとめました。数値はSCAが示す目安とされる値で、厳密な計測は不要です。気軽に「香りを嗅ぐ→味わう」を習慣にするだけでも、味の解像度は上がります。

より本格的に味を比べたいときの、家庭でのカッピングの道具と手順は、家庭でできるコーヒーのカッピングのやり方で詳しく解説しています。

手順 やること 目安(SCAの目安値)
1 挽いた粉の香りを嗅ぐ(ドライアロマ) 挽きたてが理想
2 お湯を注ぐ 約93℃のお湯
3 表面の層(クラスト)を崩して香りを嗅ぐ 注湯から約4分後
4 スプーンですくってすすり、味・酸味・ボディ・後味を評価 液温が約8〜10分で飲みやすくなる

※温度・時間はSCAが示す目安とされる値です。家庭では、いつもの淹れ方で「香り→味→後味」を意識するだけでも十分に練習になります。

コーヒーのテイスティングでよくある誤解は?「良い酸味」と「すっぱい」は別物

味わいを学ぶうえで多いのが、「酸味=すっぱくて悪いもの」という誤解です。結論として、コーヒーで評価される「良い酸味(明るさ)」と、欠点としての「すっぱさ(sour)」は別物とされます。

良い酸味は、フルーツのような爽やかさや明るさを指し、上質なコーヒーの魅力の一つとされます。一方で、不快な「すっぱさ」は、抽出不足(湯温が低い・抽出時間が短い)などで生じることが多いといわれます。同じ「酸っぱい」でも、原因と評価はまったく異なるわけです。

苦味についても同様の誤解があります。心地よい苦味は深煎りの個性ですが、強すぎる不快な苦味は、挽きすぎ・抽出しすぎ(過抽出)のサインであることが多いとされます。味の良し悪しを「豆のせい」と決めつける前に、抽出を見直すと改善する場合があります。そもそも酸味が苦手で抑えたいという方は、酸味の少ないコーヒー豆の選び方で具体的な豆選びと淹れ方を解説しています。

まとめ:コーヒーの味わいは6要素で捉え、各論は深掘りで好みを見つける

コーヒーの味わいは、酸味・苦味・甘み・コク・香り・後味の6要素に分けて捉えると、漠然とした感想が具体的な言葉に変わります。その味は豆・焙煎・抽出の3段階で決まり、焙煎度は方向性を左右する大きな目安になります。

「良い酸味」と「すっぱさ」、心地よい苦味と過抽出の苦味は別物です。この違いを知っておくだけで、味の評価が一段とクリアになります。まずは家庭で「香り→味→後味」を意識する習慣から始めてみてください。

家庭で実際に豆を比べてみたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

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コク(ボディ)の正体や、家庭で口当たりを濃く・軽く調整する方法を知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

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出典・参考

本記事の解説の根拠とした出典です。フレーバーホイールや使い方の手順は、米国スペシャルティコーヒー協会(SCA)の公式情報[S1]を一次ソースとして優先しています。その他は一般的な解説であり、本文では「〜とされる/いわれる」と留保し、数値は「目安」としています。

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